ブログといいつつ小説置き場。二次創作SS系
「ななこ――!」
走り寄った彼は彼女に抱きついた。
感動的シーンであろうその場面に直面した。
彼女は涙を流しながら抱き返したりはしなかった。
「ちょ、もう、やめてよ!
ハズいし! めっちゃみられてるしっ」
笑ってはいけないものをやるのにはまだ早い。
その二人の真後ろで必死で表情を殺すのは正直無理だった。
一部始終は見てしまった。
元々前を歩いていた彼と彼女。いきなり走り出した彼を笑いながら見送って暫くして小走りで後を追った。
一方、全力疾走していった彼は折り返して同じ速度で戻ってきた。
そこで最初に戻るわけだが、こちらからもあちらからも茶番だとわかっているのでシュール。更に前後には道行く人たちのニヤニヤ。
真後ろの笑ってはいけない私。
とりあえず足早に追い越して咳払いで笑いを飛ばした。
熱愛シチュエーションですけど買い物帰りのおばちゃんばっかりの往来のど真ん中でやるもんじゃないなぁ。
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